この雌牛の存在価値とは?

この雌牛が死ねば、幾人ばかりかは残念がるのかもしれないけど、雌牛は他に掃いて捨てるほどいるわけだ。
携帯を取り出して雌牛の顔面を撮った。胸部のネームには[イナモリ]と表されていた。
「イ・ナ・モ・リ・・・初交は生後何年くらいで?」
雌牛はコミュニケーション能力を失っているようだったが、それでも必死にこちらの
問いに対応しようとしてくるので、
「牛にきいてない。店長にきいてるんだ。店長さん、この雌牛の初交年月は?」
「止めてください」
「把握してるの、してないの?」
「そんなのしてませんよ」
「データ自体がないということ?」
「ないですよ」
「つまり交接自体がないと。」
「・・・」

いいタマだ。国内においとく理由はない。上×あたりに移動させれば生産性は数倍に上がる。